気になるフィリピン企業の労働環境! 労働時間と割増賃金は日本とどう違う?

気になるフィリピン企業の労働環境! 労働時間と割増賃金は日本とどう違う?

気になるフィリピン企業の労働環境! 労働時間と割増賃金は日本とどう違う?
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日本では、毎日といってよいほど労働環境問題に関するニュースが報道されています。「長い労働時間」、「セクハラ」、「パワハラ」など、問題はさまざま。

ところで、海外の労働環境と照らし合わせたことはあるでしょうか? わたしはここマニラで働き始め、日本で働いていた時と比べ「全く違うな」と思うこともあれば、「これ、日本と同じだな」と思うこともあります。こういった労働環境の違いを作る要素は、その国の「性格」と「労働法」の2つが主な要素だと思っています。フィリピン人の性格については「フィリピンの文化とパーソナリティ」でも取り上げていますので、参考にしてください。今回のブログでは「労働法」について詳しく見ていきたいと思います。

フィリピンで就職したいと思っている人、またはフィリピン人を雇用する経営者の方々のご参考になれば嬉しいです!




 

フィリピンの労働法 ”Labor Code of the Philippines”

 

日本には「労働基準法」があり、労働時間、割増賃金(残業代)、雇用契約、給与の支払い方法・・・などなど定められていますよね。フィリピンでは”Labor Code of the Philippines“という法律があり、職場の労働環境について日本の労働基準法と同じように定められています。

すべてを見ていくのは骨の折れる作業となるので、今回はその中の一部、「労働時間」と「割増賃金」について触れていきます。「労働時間」は私生活や皆さんの健康にも関わってきますし、「割増賃金」は給与の額に直結するので、とても大切なトピックですよね。ここフィリピンではどういった労働時間で働くよう定められているのか、見ていきましょう。

労働時間については、タイトル1の”WORKING CONDITIONS AND REST PERIODS(労働環境と労働時間)の”HOURS OF WORK(労働時間)に定められています。ちなみにここで対象となる「労働者」は、利益を目的にとする企業と非営利組織(NGO)の労働者が該当します。ちなみに、「労働者」の中で下に挙げた職種は対象者とはみなされません。

(1) 国家公務員(Government Employees)
(2) 管理監督者(Managerial Employees)
(3) 現地保守要員/営業職員(Field Personnel)※オフィスではなく離れた土地で働かなければならない社員で、農業従事者を除く。
(4) 営者の家族・配偶者であって経営をサポートしている者(Members of the family of the employee who are dependent onhim for support)
(5) 家事手伝い人(Domestic helpers)
(6) 個人的なサービスを提供する者(Persons in the personal service of another)



労働時間と割増賃金に関する法律

 

さて、ここからは労働法でどのように定められているか、実際にコード(Code)を見ていきたいと思います。

Art. 83. Normal hours of work. The normal hours of work of any employee shall not exceed eight (8) hours a day.
所定労働時間:使用者は、1日に8時間を超えて労働させてはならない。

Art. 84. Hours worked. Hours worked shall include (a) all time during which an employee is required to be on duty or to be at a prescribed workplace; and (b) all time during which an employee is suffered or permitted to work.
労働時間:所定労働時間は、労働者が職務に従事している時間、所定の職場にいる時間、働くことを強いられている時間、許可されている時間などすべてが含まれる。

Art. 85. Meal Period. Subject to such regulations as the Secretary of Labor may prescribe, it shall be the duty of every employer to give his employees not less than sixty (60) minutes time-off for their regular meals.
食事時間:使用者が労働者に与える食事時間は、60分を下回ってはならない。

Art. 86. Night shift differential. Every employee shall be paid a night shift differential of not less than ten percent (10%) of his regular wage for each hour of work performed between ten o’clock in the evening and six o’clock in the morning.
深夜業の割増賃金:使用者は、深夜業に従事する労働者に対し、通常の10%以上の深夜割増賃金を与えなければならない。深夜業とは午後10時から翌日午前1時の間に労働させることをいう。

Art. 87. Overtime work. Work may be performed beyond eight (8) hours a day provided that the employee is paid for the overtime work, an additional compensation equivalent to his regular wage plus at least twenty-five percent (25%) thereof. Work performed beyond eight hours on a holiday or rest day shall be paid an additional compensation equivalent to the rate of the first eight hours on a holiday or rest day plus at least thirty percent (30%) thereof.
割増賃金:1日8時間を超えて時間外労働をさせる場合、通常の賃金の25%以上の割増賃金を支払わなければならない。休日労働をさせる場合、最初の8時間は通常の賃金の30%以上の割増賃金を支払わなければならなず、8時間を超えた分についてはさらに25%以上の割増賃金を支払わなければならない。

Art. 88. Undertime not offset by overtime. Undertime work on any particular day shall not be offset by overtime work on any other day. Permission given to the employee to go on leave on some other day of the week shall not exempt the employer from paying the additional compensation required in this Chapter.
アンダータイムは割増賃金と相殺できない:アンダータイム労働をした場合は残業と相殺はされない。また別の日に労働者が取得した休暇と、割増賃金を相殺することもできない。
※ちなみに、「アンダータイム」とは残業の反対の言葉で、「規定の労働時間よりも短い時間働くこと」を意味します。

「所定労働時間は1日8時間」、「所定労働日数は週5日」といった点は、全く同じではありませんが日本の労働基準法と似ていますね。割増賃金についても、割増率は少し違っても、考え方は同様と言えるでしょう。法律だけを見ると、実態はどうであれ「こんなもんだよね。」というのが私の正直な感想。しっかりと法に従っていいる経営者がいる会社であれば、労働者は基本的にはよい労働環境でハッピーに働けているのではないでしょうか。


 

問題は、実際の職場環境・仕事文化

労働時間と残業代について、2年間フィリピン企業で働いたわたしが感じることはこの2つ。

① そもそもフィリピンには、残業をしてまで働くという考え方がない(ゼロではないが薄い)
② 残業をしても、会社が割増賃金を支払わない

まず、一つ目の「残業をしない」という点。

日本人は基本的に残業が大好き(?)ですよね。ほとんどの職場では、仕事が残っているのなら、終わらせてから帰るという考えが常識。それが上司の評価にもつながるし、「よい社員」とみなされるからです。

一方フィリピンでは、「残業をして仕事を終わらすぞ!」という熱い社員はあまりいませんし、残業が大嫌い。「明日やればいいじゃん」という感じで、よく言えば楽観的、悪く言えば競争意識が低いと言えます。

日本と比べてどっちがいいのか?というと、正直、人それぞれ。仕事が好きで、サービス残業でも問題ないという人は日本にたくさんいますし、私も東京で働いていたときはそうでした。でもフィリピン企業で働く中で、チームメンバーが残業をしないで定時で帰るのに、私が一人残ったとしても虚しいだけ。「私一人頑張ってんじゃん?」と悲しくなってしまいます。

だから今では、できるだけ仕事を時間以内に終わらせて、定時になったら速攻オフィスから出られるようスケジュールを調整しています。私のチームは日本人一人ということもありますが、自分一人が残業をして損した気持ちにならないようにしています。そうしていたら、実は私生活はとっても充実してきたんです。シフトは午後5時までなので、定時後は買い物をして、一緒に暮らす彼氏に時間をかけて夕食を作って、掃除して、たまには夜に映画を見に行って・・・といったことができます。日本人は「仕事バカ」を少し緩めた方がよいと思います。

さて、2つ目の「残業をしても会社が払わない」という点。

これはかなり問題。でもフィリピンでは「当たり前」なのです。私の会社には「OT(オーティー)」という言葉があります。これは「Overtime Thank You」の意味。すなわち、残業をしても会社の人事は「Thank You!」というだけ。残業代は支払いません。

これは本当に、会社や経営者によります。しっかりと法の定めに従って残業代を必ず払う会社もあれば、従業員の申告制を採用する会社もあれば、全く支払わない会社もあります。私の予想では、しっかり払っている会社は少ないのではないでしょうか。日本では労働基準監督署が定期的に調査に入っているようですが、フィリピンにはそういったこともなく、払わなくても国は何も言わないからです。

また「そんなのおかしい!」と抗議するフィリピン人もあまりいません。(残業をする人がいないからだと思いますが)わたしは今の会社で、1日2時間の残業をしなければいけないほど忙しい時期がありました。始め全く残業代が支払われず、マネージャーに相談したところ、私の会社で特別に、残業代が支払われるようになりました。人事部にとっては、わたしのような日本人をマニラで見つけるのは難しく、やめてもらったら困ると考えたののでしょう。いまでは30分の残業でも申請すれば支払われています。交渉は大事ですね。

 


 

いかがでしたか?

フィリピンと日本、法律は似ていても、実態は大きく違います。結局、現在日本で問題になっている労働時間などの問題は、昔からある仕事に対する考え方、仕事への向き合い方などの「仕事文化」ではないでしょうか。ということは、さまざまな問題は、ひとりひとりの考え方で変わってくるんですよね。

あとは、フィリピンにきて変わった考え方といえば、「自分の意見を言う」「周りに流されない」ということ。周りに流されていては、間違っていることもそのままになってしまいます。まずは経営者に、間違ったことをしていると分かってもらわなければいけません。先ほど書いた、割増賃金の未払いが一つの例です。企業は従業員が何も言わなければ何もしてくれないので、「払うべきだ!」と真剣に経営者に抗議することはとっても大切です。労働者は会社のペットではありません。常にウィンウィンの関係を築けるようにしたいですよね。

 







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